校長の呟き ~東の空から~
74.修業式講話(抜粋) ~夏炉冬扇~
皆さんおはようございます。皆さんはそれぞれの業を終えこの修業式に臨んでいます。「結果よりも過程重視」ということも年度はじめに皆さんに話しましたが,東高生一人一人が十分な結果に結びつかなくとも,一生懸命努力する過程こそが大切だと取り組んだ姿勢を評価したいと思います。新型コロナウイルスによる様々な影響の中,本当によく学業に部活動に頑張ってきたと思います。東高の校長であることを改めて誇りに思います。新型コロナは終息の方向に向かっているといいのですが,新しい学年でしっかり頑張ろうと気持ちを新たにしてください。
ところで,WBCは日本が14年ぶりに世界一を奪還しました。午前中のライブの視聴率は40%を超え,夜の再放送も20%を超えましたので,テレビで見た方も多かったと思います。今回の国際大会でも優勝して競技自体の実力を世界に示しましたが,同時にゴミ一つ落ちていないベンチの中の綺麗さ,相手をリスペクトする姿勢等世界一に相応しい国民性が評価されたことがとても誇らしいと思います。
さて,今日は一年の終わりに夏炉冬扇(かろとうせん)という話をします。短時間で終えますので聞いてください。この言葉は夏の暖房,冬の冷房といった意味です。ですから,時期はずれの無駄なもののたとえ。また,無用なもの,役に立たない言論や才能などのたとえとして使われます。夏の暑い時のストーブに真冬の寒い時の扇風機ですから時期はずれの無駄なものというのがわかります。
でも本当はもっと大事な意味があって,そのことを皆さんにわかってもらいたいのです。夏のストーブに冬の扇風機は一見すると不要に思われますが,必ず必要となる時が来ます。その時(=出番)に備えてしっかりと準備をしているのです。または,夏の暑い時でも暖房を必要とする人はいます。今日もまだまだ寒いですが,場合によっては冷房を必要とする人もいるはずです。
つまり,人というのは必ずどこかで誰かの役に立っているのです。この世の中に役に立たない人などいないのです。目に見えないところで役に立っていますし,腐ったり・あきらめたりしないで学校生活をしっかりしていれば,目に見えてチャンスは必ず訪れるということです。周りにいる一人一人を大事にしてほしいのです。認めてほしいのです。東高生の皆さんにはこのことを理解してほしいという思いから,一年の終わりに夏炉冬扇(かろとうせん)という言葉を紹介しました。皆さん今日も話を聞いてくれてありがとうございました。以上で講話を終わります。
令和5年3月24日 山内